スレッドへ返信

  • (投稿前にプレビューで確認)

スレッドの返信一覧(新しい順)

妖怪・化け物・幽霊

  • 兵主部
  • 2015/10/06 (Tue) 02:21:01
九月のチャット会では「妖怪と神の関係」でしたが、妖怪・化け物・幽霊といったモノの関連性、またはそれぞれの解釈や定義の違いなどどのように捉えているか聞かせて頂けないでしょうか?

Re: 妖怪・化け物・幽霊

別スレで上昇した話題なので上げま~す

Re: 柳田の妖怪観

  • しろた@携帯
  • E-mail
  • 2015/12/19 (Sat) 20:09:26
 民俗学、、、とは違うかも知れないけど、地域の伝承や伝説等などの裏付けが無いと妖怪と呼ぶには何処か違和感を覚える時もあるんですよね。

 とは言っても、例に上げたぬらりひょんは、描かれた当初は今の噂・都市伝説のようなただの情報だったとしても、広く知れ渡り人々の精神世界に浸透していけば地域の伝承や伝説と同様なんじゃないかなーって思うし。

 それぞれの時代ごとの語り継ぐ者・表現する人々によって変容する。
 妖怪というのは時とともに化け続けているからこそ、生き残っているんだなーっておもいます(^_^)。

柳田の妖怪観

  • 兵主部
  • 2015/11/19 (Thu) 01:31:35
柳田の妖怪観というのも少し厄介でして。というのも柳田の妖怪観=現在の妖怪観ではないのです。
柳田の言う妖怪とはある民俗内で蒐集された怪しいモノゴトに関する語彙であってそれは必ずしも江戸の化物とイコールにはならないのですね。柳田にとっては民俗内で蒐集されない妖怪は例え現在、過去において妖怪だと思われていたものでも妖怪にはならなかったのです。例えば、ぬらりひょんなんて妖怪の総大将とされるほどの妖怪ですが、これには民俗学的な伝承なんて残ってないので柳田民俗学においてはぬらりひょんは妖怪ではないのです。
むしろそのような江戸の化物、つまり化物の図像ですか、そういうのを好んで集めたのは江馬務や藤沢衛彦の風俗史学だと言われています。ぬらりひょんが妖怪の総大将になったのは藤沢衛彦の『妖怪画談全集』によると考えられているようですね。
つまり、現在の妖怪観というのは即ち水木しげるの描く妖怪であり、水木しげるの妖怪というのは柳田民俗学と江馬や藤沢の風俗史学を足し合わせたものだと言えますね。

レス

>しかし、一つ注意が必要な点は「化け物」はほぼ「妖怪」の同義語であって「化け物」には幽霊は含まれませんが、「オバケ」は「化け物」の幼児語であるにも関わらず、幽霊をも含む語彙でもあります。
→ううむ。それなら【妖怪(お化け)】
ではなく
【妖怪(化け物)】の表記が良いかな?w


 兵主部さんの見解を元に柳田氏の幽霊についてちょっと纏めさせていただきます。

【柳田氏の提唱する妖怪】
 江戸時代以前から存在する化け物全般。当時の幽霊も含まれる。

【柳田氏の提唱する幽霊】
 明治・大正以降、西洋から渡ってきたスピリチュアリズムと融合した心霊科学的な幽霊。

 こんな感じですかね?
 

 妖怪や民俗学に造詣がある人を除けば、【柳田氏の提唱する妖怪】と【柳田氏の提唱する幽霊】と区別無く捉えている事が多い気がします。
 私自身も混同してるところがあるかも知れませんが^^;。
 妖怪をオカルトの一種と捉えてたりするは割りと普通です。
(オカルティズム=神秘学は「隠されたもの」で超自然的な存在や法則を指すらしいから、厳密に言えば正解かも知れませんw)

 それを踏まえると、幽霊と妖怪を定義するなら現代版にアップデートする必要があるって事なのかな?

柳田の幽霊観

  • 兵主部
  • 2015/11/01 (Sun) 21:12:38
しろたさんが投稿されたように、柳田は妖怪談義にて、妖怪と幽霊の区別を提示していますが、この区分から漏れる例は多く今では学内においては支持されていないようです。しかし、一般では妖怪と幽霊の区分にこの定義が引用される場合は多く、妖怪と幽霊は別物とされることが多いようです。
しかし、柳田が妖怪から切り離した幽霊というのはどうも昔からある幽霊では無く、明治から大正以降にスピリチュアリズムと融合した心霊科学的な幽霊だったようです。柳田はそうした近代以降の幽霊にのみ言及しており、近代以前の幽霊には全く触れていないようです。
近代以前、江戸時代では幽霊はほぼ間違いなく化け物の一種であったと考えられます。しかし、スピリチュアリズムを経て変容してしまった幽霊は最早柳田の目には妖怪とは異なるものに見えたのでしょう。
オカルト的な言説における幽霊と、妖怪的な言説における幽霊は全くの別物と考えておいた方が良いようにも思えます。

妖怪と化け物

  • 兵主部
  • 2015/11/01 (Sun) 20:58:41
柳田も妖怪と化物をほぼ同義の意味で使っていますね。しかし、柳田は妖怪という語彙の使用を出来る限り避けているようにも思えます。例えば、妖怪談義では論文の題に「妖怪」が使われているにも関わらず、本文では「化け物」や「オバケ」を使っており「妖怪」という語彙は使用していません。
また、黄表紙本や鳥山石燕の画図百鬼夜行シリーズなんかでも妖怪という語彙は使われていますが、黄表紙では妖怪と書いて「ばけもの」と読ませていますし、石燕も妖怪は「化け物」の言い換え程度にしか使ってないようにも思えます。
「オバケ」という語彙もありますが、これは本来は「化け物」の幼児語のようなもので、「オバケ」と「化け物」にはほとんど意味の違いはなかったのです。しかし、一つ注意が必要な点は「化け物」はほぼ「妖怪」の同義語であって「化け物」には幽霊は含まれませんが、「オバケ」は「化け物」の幼児語であるにも関わらず、幽霊をも含む語彙でもあります。

ちょっとおさらいしてみる

  • しろた
  • 2015/10/31 (Sat) 18:43:27
 柳田氏の提唱した幽霊と妖怪の違いを載せときますね。
(小松和彦先生の「妖怪学新考」を参照)

【妖怪(お化け)】
・出現している場所は決まってる
・相手を選ばない
・出現時刻はかたわれどき(朝方・夕方)

【幽霊】
・どこにでも現れる
・相手を選ぶ
・出現時刻は丑三つ時(真夜中)

 妖怪研究が進んだ現代では、上記以外のケースが多い事がわかり当てはめる事が難しくなった。

 更に妖怪学新考には、「妖怪を上位カテゴリ・幽霊を下位カテゴリ」に置き、妖怪カテゴリが幽霊を包括するのはどうだろうって書いてありました。

Re: 妖怪・化け物・幽霊

  • 囲炉裏
  • 2015/10/26 (Mon) 21:38:18
妖怪と化物はおんなじ意味で使ってます。

強いて言うなら妖怪の方が現象っぽいって感じでしょうか。
姿を持つ前の塗壁とか、化物というよりは妖怪かなって。

それから、九十九神や経立のような、
昔は普通の何か(人間以外)だったものは
化物という表現が特にしっくりくる妖怪だと感じてます。



その二つと幽霊の違いに関しても、
あんまりはっきりとした考え方は持っていません。
妖怪の集合のほうが、幽霊の集合より若干大きいだろうとは思ってます。

七人みさきは専ら妖怪扱いなのに明らかに幽霊サイドですし、
畑怨霊って名前の創作妖怪が生まれたり、崇徳上皇の怨霊が三代悪妖怪として数えられてたりなどなど。

逆に、幽霊扱いされてるもので、あなたは妖怪でしょうというようなのはあまり見かけません。
といっても、
幽霊画談に機尋が載ってるとか、稀に微妙なのもいるのでやっぱりよくわかりませんけどね。

包含関係はともかくとして、幽霊といえば人間に関係してるって感覚はしろたさんと同様です。

幽霊であれば、、、

 どちらかと言えば、妖怪は土地を軸に発生して幽霊は人を軸に発生している印象があります。

 ただ、妖怪が土地を軸にしていると言っても、そこにいる人が「妖怪・怪異だ」と認識して初めてそうなるわけだから人が全く関係が無いって訳じゃないです。
 更に、自縛霊が妖怪では無く幽霊の部類であるなら絶対的な定義とは言えませんよね^^。